夕焼け列車 #谷塚 弘志-7

俺は駅から家に向かう道を歩いていた。
いつもなら、とぼとぼという言葉が入るが、今日は違った。

ここの地に引っ越してきて早半年。間もなく両サイドに広がる稲が、その一生を終えようとしている。

よく、田舎暮らしに憧れる人がいる。確かにおかしいことじゃない。ゆったりしていて、自然でいっぱいだ。
けれど、今まで都会で育ってきた俺には、不便ということが未だに不満であった。

まず、駅前に店がない。何にもない。
前にいたところでは本屋小さいって文句言ってたっけ。贅沢じゃないか。
んでその本屋その他へ行くのに
30分に一本しかこない二両の列車に乗って1時間くらい乗らないといけないんだから、もうどうしようもない。
まだ便利なのかもしれないが。

まぁそんなこんなで、毎日家に帰る度、一面に広がる田んぼを見る度、俺はたまらなく残念な気持ちになる。

けれど違う。今日は違うのだ。

赤とんぼが飛んでいる。今まで気がつかなかった。
稲がこんなに実をつけて垂れている。今まで気がつかなかった。

「いいじゃんか、田舎。」

一人呟いた。

いいじゃんか。いつも電車ねぇって言ってっけどさ、伊藤。
ゲーム買えねぇって言ってっけどさ。本屋ねぇって言ってっけどさ。
なんもねぇかもしれねぇけどさ。

いいじゃんか。素晴らしいじゃないか。
田舎。

家が見えた。

俺は息を思いっきり吸った。稲の匂いがする。

俺は駆け出した。
ゆっくり本を読もう。そのあとは、どうしようかな。自然と笑みがこぼれていた。

そんな俺を、夕焼けが照らしていた。


はい。
これにて谷塚弘志編は終了です。
どうだったでしょうかね。
自分で考えると、勢いで書いているので、何言ってんのかわからなくなってきますね。支離滅裂かな?
駄菓子菓子。
これが面白くなるのは次回から(のつもり)なので、楽しみにしてて構わないよ。
あ、一回キャラ紹介的なのを挟むよ。


今日の対義語
天文学的⇔量子力学

例)シャーペンの芯って一本約3円?なんて量子力学的な値段なの?