夕焼け列車 #谷塚 弘志-6

「きっと誰かが空けてくれたんでしょう?」

以外と鋭いな。もしかしてさっきのおばあちゃんの鋭い目もわかっててスルーしたのか?

「そんなのつまんない意地でしょ                      う。立つのは私たちの役目なんです。空けてくれた誰かも報われない。甘えてみない?席は空いてたら座るものじゃない?たまには休んでみませんか。 」

正直、いい説得なのかわからない。納得いかない部分もある。反論も出来そうだ。

けれど。

そのこえは終始穏やかで、俺は何だかすごくほっとして、報われたような気持ちになった。

やがてまた駅に着くと、おばさんは降りて行った。

何だったんだろう。あなたは座る必要性があったのか。

おばあちゃんはまだ立ったままだった。でもギスギスした様子はなくなっていた。
ひとまずよかった。

正面のガラスに視線を戻すと、穏やかな少年の顔が映っていて、その先の線路もはっきり見えた。

「次は黒垣、黒垣。」

あ、降りる駅だ。

ドアから出る時、あの席に振り返った。
おばあちゃんが座っていた。

一安心して、ホームに足を付けた。

「ありがとうだって。」

突然声がした。
振り返ると、列車の窓を開けて一人の、俺と同年代くらいの女の子が笑顔で話しかけてきていた。

「えっと、あの、こちらこそありがとう」

なんかすぐに思いつかなくて、とりあえず返した。

女の子は車内を向いた。
列車が発進した。
女の子が出てきた。

「わらってるよー」

そう言って手を振ってきた。
俺も手を振り返した。

「あ。」

ありゃあ牧岡学園じゃないか。

俺は呆然と夕日に吸い込まれて行く列車を見ていた。


う〜ん、自分でもなかなかこの言葉はどうなんだろうかなと思っている。
納得いかないのに文章にすると後味がわるいなー。
でもしないとその先が書けない。
まだまだ自己満足の世界ですね。


今日のSS
バカ男「バームクーヘンってドイツ語でなんてゆーか知ってる?
木のお菓子ってゆーんだよ(どや」

うんうん、自分は知があることを見せたいんだね。
でもバームクーヘンはドイツ語でバームクーヘンだよ。