夕焼け列車 #谷塚 弘志-5

その女性、おばさんでいいだろう。おばさんは、きっと車内ほとんどの視線をあびていただろう。

両手に荷物、荒い息、ふくよかな体型、そして何より
「ここ、空いてますか?」
そう言って示した先は、一つだけ空いた席、おばあちゃんが目の前に立つ席、俺が譲った席、であったからだ。

車内の空気が冷えたのを感じた。 
おばあちゃんの目が一瞬鋭くなった。
俺はと言うと、早くも同情していた。

それはずっとこの空気にさらされてきたからだ。

この前だったら、すぐにその場から逃げられた。けれど今回はそれができない。

立った時は、丁度駅に着いた時だった。そのときに降りなかったのだから、中途半端なところで降りるという選択肢は考えられない。
  そもそも俺は電車好きのふりをしてここに立った。それはしばらく立っていることが前提なのだ。

始めは大丈夫だろうと思っていた。もし座られなかったとしても耐えられると思っていた。

浅はかだった。
おばあちゃんが空いた席の前に立つというイレギュラーな現象が後押しして、なんとも重苦しい空気が俺を包んだ。

ちょっとでも気を緩めるとガラスに反射したおばあちゃんの姿が見える。
その度に言いようのない恥ずかしさや恐怖感が湧いた。
もう精神はボロボロだ。
もう少しで心が折れそう。

そしてその心をこのおばさんに折られそうなんだが。

やっと話が戻った。

おばさんはその鋭い目に気付かないのか、後ろからでも緩い様子がわかる。

返答はない。

「じゃあ座りますよ」

おばあちゃんはよける。もう、車内全員が注目していた。

ボスッ、という音がしたかしないかわからないが、おばさんが座った。息をついた。

そして。

「そういえば、何で立ってたんですか?」

全員が(心の中で)ため息を吐いた。
やっちまったな•••
とうとうやっちまった。

空気が凍るとはこういうことか。

おばさんが再び口を開いた。


進まないねぇ•••
どうしたものか。
次回はいよいよ問題のシーンですね〜
何と言わせようかなー


ここんとこあんま寝てないですねー
そうかと思えば二週間後にテストだ。
大丈夫かな、あは〜ん。
うん、マジで
              \やべぇ/

今日の必殺技
  爆裂砲龍脚(ばくれつほうりゅうきゃく)
 サッカーで使ってみよう!